リベラルアーツ英語検定クイズロミオとジュリエット > 2015年02月19日更新分(1/3)

《第19問》
The Oxford English Dictionary によると、『ロミオとジュリエット』は、ある英語が「勇敢な男」または「華美な男」という意味で使用された初出例の出典とされている。その英語はどれか?

正解

不正解

解説

刀や小刀の刃を意味する“blade”が、“A gallant, a free-and-easy fellow, a good fellow”の意味で使用された初出の例として、OEDは、第二幕第四場二十六行目にみえる“By Jesu, a very good blade! a very tall man...”というマキューシオの台詞を引いている。

より詳しい解説を読む

ただし、新ケンブリッジ版『ロミオとジュリエット』の編者ブラックモア・エヴァンズ(G. Blackemore Evans)は、この解釈に懐疑的で、この“blade”は単に“sword”の意味ではないかと言っている。「イエス様に賭けて、まことにお見事な剣さばき、まことにお見事な男ぶり」という松岡氏の翻訳は、このエヴァンズの解釈を反映したものとなっている。しかし、この一行は、おそらく、エリザベス朝に流行した反復表現と解釈できるのであって、“a very good blade”と“a very tall man”は同じ意味を持つ英語と考えられる。いずれにせよ、マキューシオのこの一行は、ティボルトに代表される「キザったらしい喋り方」をする人々の口調を真似た言いまわしであるから、“blade”という語にも、新しいニュアンスが賦与されているに違いないと考えるのがやはり妥当であろう。
 なお、ゴードン・ウィリアムズ(Gordon Williams, Dictionary of Sexual Language and Imagery in Shakespearean and Stuart Literature, Athlone, 1994)が定義するように、“blade”には“penis”という意味もあるので、“a very good blade”という言いまわしは、意気盛んな若者が好む“new-fangled”な言葉であっても、エヴァンズがいうように“down-to-earth”な英語とは思えない。

 ※ G. Blackemore Evans, ed., Romeo and Juliet, by William Shakespeare, The New Cambridge Shakespeare (1984; Cambridge UP, 2003) に従っている。以下、本解説では、『ロミオとジュリエット』の原文からの引用は、断りがない限り、この版に基づくものとする。

戻る 次へ